August 29, 2017

読書感想文「お父さんの日記」

あの「築50年の家をフルリフォームしたらいくらかかるか」でバズってたブログ主が河相我聞さんであることは知らなかったです。

若くしてお父さんになったのは昔聞いた覚えがあるけど、もうテレビ自体をあまり見なくなっちゃってるし。

「お父さんの日記」 かあいがもん (宝島社)

結論から言うと、すごくよかったのです。この本。

若いパパと二人の息子の暮らしを中心に綴られています。風通しのよい三人の関係がほのぼのとあたたかく、またひとつ別の、世間体なんかにとらわれない今どきの家族のお話になっていて。筆致は軽く、ネタもオチも楽しいライトな読み物なんだけど、その軽い筆致の裏に、人生や子育てについて結構骨太、でもしなやかに向かい合う我聞さんの思いが滲む感じで。

我聞さん、僕とは全然違うんですけどね、生まれも育ちも今の暮らしも。
でも、自分の人生をちゃんと生きれているのかな、自分をちゃんと信頼できているのかな、と自分の足元を確認して、あしたもがんばろうっていう気になる本でした。

August 05, 2017

うまいもの。

いつだったか、父に「今まで食べたもので一番おいしかったものはなに?」と聞いたことがあります。しばらく間があってから、父は、「昔、学生時代に北海道を貧乏旅行したときに山の上で食べた麩菓子。あれが一番だろうな。」と話しました。

そう。そのものが客観的に言ってよい味がする、というだけではなくて、いつ、どこで、何を、どんな状況で食べたかによるんですよね、おいしいかどうかって。

僕にも、口に入れた時に思いがけず目がうるっとしたものがいくつかあります。

アフリカの途上国で国際援助のしんどい仕事を終えて東京に帰って来た友達が、和食が食べたいというので出かけたカウンターだけの小さなお店。そこで出された、囲炉裏の遠火でゆっくりゆっくり焼いた若鮎。

めったに遠出をしない母が父に連れられて上京してきたので、少し奮発して予約した、浜離宮を見下ろす眺めのいいレストラン。そこで出された、厚切りのサーモンのコンフィ。

金曜の夜、大人になってそれぞれ違う世界で仕事をしている友人たちと明け方まで飲み歩き、遅く起きた土曜の昼に一人で入ったタイ料理店。そこで出された、少し濃いめのチキンスープ。

そんな、いろんなものがピタッと合った瞬間に、「ああ、うまい」と独りごちるのです。

またうまいもの食べたい。